診療案内 胸痛
胸の痛みは、誰もが不安を覚える症状のひとつです。中には命に関わる重大な病気が隠れていることもあり、早めの対応が重要になります。
胸痛とは?
胸痛とは、胸部に痛みや圧迫感を覚える状態を指します。痛み方や持続時間、随伴する症状によって原因はさまざまです。
すぐに医療機関を受診すべきチェックリスト
- ● 痛みの性質(圧迫感・締め付け・焼けつくような感覚)
- ● 発生部位と広がり(胸の中央・主に左側・背中や首、顎、肩に放散する痛み)
- ● 発症のタイミング(安静時・運動時・食後・呼吸で悪化するなど)
- ● 続く時間(数秒~数分・数十分以上持続など)
- ● 随伴症状(冷や汗・吐き気・呼吸困難・めまいなど)
命に関わる可能性がある胸痛
胸痛の中でも、次のようなケースは一刻を争う緊急疾患です。
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● 心筋梗塞・不安定狭心症
胸の中央が締め付けられるような強い痛み。冷や汗・吐き気・呼吸困難を伴い、左肩や顎へ広がることもあります。 -
● 大動脈解離
胸だけでなく背中に「引き裂かれるような」激痛が突然走る。痛みが移動するのが特徴です。 -
● 肺塞栓症
突然の胸痛、呼吸困難、動悸。足のむくみを伴う場合もあります。 -
● 気胸
片側の胸に鋭い痛みと息苦しさが出現。若い方にも起こりえます。
救急要件(すぐに救急要請すべき症状)
- ● 痛みが5分以上続く強い胸痛
- ● 冷や汗や吐き気を伴う
- ● 呼吸困難・息ができない感覚
- ● 背中・肩・腕・首・顎へ痛みが広がる
- ● 意識が遠のく、めまいを伴う
緊急性は低いがそのほか注意が必要な胸痛
- ● 安定狭心症や心膜炎:運動時に出る痛み、姿勢や呼吸で変化する痛み
- ● 逆流性食道炎・胃潰瘍:食事と関連する胸、みぞおちの違和感や灼熱感
- ● 肺炎・胸膜炎:咳や発熱を伴う胸痛
- ● 肋間神経痛:鋭く一時的な痛み、動作や呼吸で悪化することがある
- ● 帯状疱疹:痛みに続いて発疹が出現することがある
- ● パニック発作:不安やストレスに伴う胸痛
医療機関で行われる主な検査
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問診・診察
患者さまの症状の特徴や発症状況、既往歴(過去の病気や治療歴)を詳しく確認します。どのような胸痛か、いつ起こるか、伴う症状は何かを把握することで、危険性の高い病気の可能性を判断します。 -
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心電図(ECG)
胸の痛みが心臓の問題によるものかを調べるための検査です。心臓の電気的な活動を記録し、心筋梗塞や不整脈の有無を確認します。短時間で痛みの原因を把握できる基本的な検査です。 -
● 血液検査
心筋マーカー(心筋が傷ついたときに上昇する酵素)や炎症反応、凝固系の異常などを調べます。心筋梗塞や肺塞栓症、感染症などの可能性を評価し、診断の補助に用いられます。 -
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心エコー(心臓超音波検査)
超音波を使って心臓の動きや構造をリアルタイムで確認する検査です。心臓のポンプ機能や弁の状態を評価し、心不全や心筋梗塞の影響、血流異常などを把握できます。
受診の目安
- ● 強い痛みが続く、繰り返す
- ● 安静時にも痛む
- ● 動悸や呼吸困難、めまいを伴う
- ● 夜間や安静時にも出現する胸痛
- ● 発熱、咳、消化器症状などを伴う胸痛
胸の痛みは軽視せず、早めに医療機関で相談することが大切です。
胸痛は一時的で自然におさまるものから、命に関わる重大な病気まで原因はさまざまです。危険なサインを見逃さず、自己判断せずに医療機関を受診することで安心と安全につながります。